“This is our final offer.” ——相手は黙り、翌週には競合と契約した。
交渉の基本フレーズは覚えた。でも本番では、相手のペースに巻き込まれて押し切られる。「No」と言えず、条件を飲んでしまう。あるいは強く出すぎて関係が壊れる——。
上級の交渉英語とは、流暢な英語のことではありません。議論の方向を設計し、相手を合意に導く構造力のことです。Harvard交渉理論が「人と問題を分けよ」と説くように、感情ではなく構造で勝負するのが上級者のアプローチです。
この記事では、交渉で主導権を握るための上級フレーズ15選を、BATNA・条件付き譲歩・フレーミングなどの戦略フレームとセットで解説します。
🎯 論点を設計する|交渉の土俵を自分で決める3フレーズ
結論:論点を定義した側が、交渉の主導権を握ります。相手の議題に乗るのではなく、自分で土俵を作るフレーズが上級の第一歩です。
ネイティブ発音|リスニング練習対応
❌ So, what do you want to talk about?(受け身すぎる)
✅ Before we dive in, let’s align on the core issue we need to resolve today.
本題に入る前に、今日解決すべき核心的な課題を共有しましょう。
✅ From our perspective, the priority lies in securing long-term value rather than short-term savings.
私たちの視点では、短期的なコスト削減より長期的な価値の確保が優先です。
✅ What would a successful outcome look like for both sides?
双方にとって成功とはどういう状態でしょうか?(Win-Winの基盤を作る質問)
🔄 条件付き譲歩|タダでは譲らない4フレーズ
結論:上級交渉では、譲歩は「通貨」です。必ず交換条件を伴わせ、譲歩に見えて実は主導権を維持する——これが条件付き譲歩(Conditional Concession)です。
❌ OK, we can lower the price.(無条件の譲歩=交渉力の放棄)
✅ If you could commit to a two-year contract, we would be willing to adjust the pricing.
2年契約にしていただけるなら、価格の調整を検討します。
✅ That would work, provided that the payment terms are adjusted accordingly.
支払い条件を調整していただけるなら、それで問題ありません。
✅ We may have some flexibility on the timeline, assuming the scope remains unchanged.
スコープが変わらない前提であれば、納期については柔軟に対応できます。
✅ We can explore that option. In return, could we discuss exclusivity for this market?
その選択肢を検討できます。その代わり、この市場の独占権について協議できますか?
💬 柔らかく反論する|否定せずに方向を変える4フレーズ
結論:上級者は「No」と言わない。「視点の違い」に変換することで、関係を壊さずに反論を通します。
❌ That’s not acceptable.(関係を壊すリスク)
✅ We see it slightly differently. Let me share our reasoning.
少し見方が異なります。私たちの考えをお伝えさせてください。
✅ There seems to be a gap in our expectations. Could we explore a middle path?
期待値にギャップがあるようです。中間案を探れませんか?
✅ I appreciate the offer, but that may be challenging given our current constraints.
ご提案ありがとうございます。ただ、現在の制約を考えると難しいかもしれません。
✅ We may need to reassess this point before moving forward.
先に進む前に、この点を再評価する必要があるかもしれません。(沈黙戦略への橋渡し)
🛡️ BATNA+クロージング|最後の切り札4フレーズ
結論:BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement=合意しない場合の最善の代替案)を持っているかどうかが、上級交渉の生命線です。代替案がある交渉者は、決して追い詰められません。
❌ This is our final offer.(最後通牒=関係崩壊リスク)
✅ We value this partnership, but we do have other options we’re currently evaluating.
このパートナーシップを大切にしていますが、現在他の選択肢も検討しています。(BATNAの暗示)
✅ We would need a decision by the end of this week to maintain our current proposal.
現在の提案を維持するには、今週中にご判断をいただく必要があります。(時間的プレッシャー)
✅ Let me summarize the key terms we’ve aligned on to ensure we’re on the same page.
認識のズレがないよう、合意した主要条件をまとめさせてください。
✅ We look forward to building a long-term relationship based on these terms.
これらの条件を基に、長期的な関係を築けることを楽しみにしています。
📌 まとめ:上級交渉は「フレーズ×戦略」の掛け算
論点設計・条件付き譲歩・柔らかい反論・BATNA——この4つの武器を使いこなせば、相手に主導権を渡さずに交渉を前に進められます。
上級交渉で大切なのは、否定するのではなく、枠組みを動かすこと。この15フレーズを音声で繰り返し練習して、「守る英語」から「リードする英語」へステップアップしてください。
❓ よくある質問(FAQ)
Q. 上級交渉英語を学ぶにはどのくらいの英語力が必要?
TOEIC700点以上が目安です。ただし英語力より「交渉の型」の理解が重要。この記事のフレーズを暗記するだけでも交渉力は大きく変わります。
Q. BATNAとは何ですか?
Best Alternative to a Negotiated Agreementの略で「合意しない場合の最善の代替案」です。BATNAが強いほど交渉で譲歩する必要がなくなり、主導権を握れます。
Q. 条件付き譲歩はどう練習すればいい?
AI英会話アプリで交渉シーンをシミュレーションするのが最も効果的です。If構文+would/couldの型を繰り返し練習し、瞬時に条件を出せるようにしましょう。
Q. 相手が強硬な態度の場合はどうする?
沈黙戦略が有効です。相手の強硬な発言の後に3〜5秒沈黙すると、相手が自ら条件を緩めることがあります。焦って応答しないことが上級テクニックです。
Q. 初心者向けの交渉フレーズとどう違う?
初心者向けは「交渉の流れに沿った基本型」、上級は「主導権を握る設計力」です。基本編を先に身につけてからこの上級編に進むと、効果が最大化します。

